Inter-universal Geometry Center 宇宙際幾何学センターIUGC

IUGCとは

IUGC(Inter-universal Geometry Center; 宇宙際幾何学センター)は、現代数論における究極の予想である「abc予想」の解決だけでなく、多くの重要問題への応用が期待される宇宙際タイヒミューラー理論(IUT理論)の普及と発展を推進するための研究所です。

OUR SCOPE

2012年に京都大学の望月新一教授によって公開されたInter-universal Teichmüller理論(IUT理論)は、多くの新しい概念やアイデアを持つ重要な理論です。この理論の論文は2021年に『Publications of the Research Institute for Mathematical Sciences』の特別号に掲載されました。IUT理論の大前提となる理論は、1995年以降、主に日本で開発されたアルゴリズム的遠アーベル幾何学です。これまで2015年から2021年にかけて複数回のIUTに関する国際的なワークショップが開催され、IUT理論の専門家も5ヵ国以上15名以上に増えました。IUT理論を世界中に普及させるために、このように多くの努力がなされてきましたが、様々な不幸な事情により、理論は通常の普及プロセスを経ることができず、その結果、多くの国にはまだこの理論の専門家のコミュニティーが存在していない状況です。私たちは、この状況を真摯に受け止めることを、私たちの出発点としたいと思います。

MESSAGE

IUGC所長 加藤文元

宇宙際タイヒミューラー理論(IUT理論)の斬新さをより多くの人たちに知ってもらいたい。より多くの人たちにIUT理論を使った新しい数学の展開に参画してもらいたい。そして、現代数学をより豊かなものに成長させたい…宇宙際幾何学センター(Inter-universal Geometry Center; IUGC)は、そうした思いから誕生しました。

IUT理論の研究は、その創始者である望月新一教授のいる京都大学数理解析研究所(数理研)が事実上の中心地となっていますが、IUT理論とその関連分野、特に従来の数学理論との相乗効果をも射程に入れた新しい展開を目指すには、数理研の研究チームと、同時にそれとは独立の運営母体と考え方をもった組織があったほうがよいだろう。実際そうしてこそ、IUT理論の普及や展開にも新しい局面をもたらすことができるであろうし、それに関連した現代数学全体のさらなる発展と新しい展開を目指すこともできるかもしれない。
このような基本理念に基づいて、本センターは自らの役割を理解しています。

現代数学、特にIUT理論やその関連分野の振興という目標は、単に研究振興という側面だけでなく、現代社会における理論研究のあり方という側面においても重要な点を示唆するでしょう。
本センターは理論研究の社会への発信や、そのフィードバックを通じた研究者のキャリア形成と社会還元という視野からも、多様な活動を主催しサポートしていきたいと考えています。